CLILってなに?

―― CLILを理解するための10のポイント――

 

(1) CLILとは何のことでしょうか?

CLILはContent and Language Integrated Learning(内容言語統合型学習)の略語で「クリル」と読みます。内容(社会や理科などの教科ないしは時事問題や異文化理解などのトピック)と言語(実質的には英語)の両方を学ぶ教育方法です。

 

(2) CLILの一番の特徴はどこにありますか?

「4つのC」で授業が組み立てられていることです。「4つのC」とは、Content(科目やトピック)、Communication(単語・文法・発音などの言語知識や読む、書く、聞く、話すといった言語スキル)、Cognition(様々な思考力)、CommunityないしCulture(共同学習、異文化理解、地球市民意識) です。このうち、Cognitionが最も重視されます。

 

(3) CLILはどのように教えるのですか?

次の10項目を満たすように教材を準備し、指導します。

 

1 内容学習と語学学習の比重を等しくする。

2  オーセンティック素材(新聞、雑誌、ウエブサイトなど)の使用を奨励する。

3 文字だけでなく、音声、数字、視覚(図版や映像)による情報を与える。

4 様々なレベルの思考力(暗記、理解、応用、分析、評価、創造)を活用する。

5 タスクを多く与える。

6 協同学習(ペアワークやグループ活動)を重視する。

7 異文化理解や国際問題の要素を入れる。

8  内容と言語の両面での足場(学習の手助け)を用意する。

9  4技能をバランスよく統合して使う。

10 学習スキルの指導を行う。

 

(4) CLILを行う利点はどこにあるのでしょうか?

密度が濃く質の高い授業が可能になります。第二言語習得から見ると、中身のある内容により動機づけが高まる、意味のある豊かなインプットが与えられる、インターラクションを行う必然性が生まれる、深い思考を伴うので記憶に定着しやすい、4技能を有機的に統合できる、といった利点があります。また、CLILはグローバル教育そのものでもあります。つまり、英語と知識と思考を駆使して他者と協働して新たな価値を創造する力を養うことができます。

 

 

(5) CLILを小学校外国語活動で行う意義はあるのでしょうか?

あります。特にCLILの「4つのC」を授業に取り入れて授業を行うことは、次のとおり、小学校外国語活動の学習指導要領にある目標・内容指導の実現のために有効です。

 

  1. Content

理科・社会などの単一教科内容・もしくはテーマ・トピックに沿った教科横断型内容を取り入れることにより、小学校の先生方の知識や経験を活かしながら小学校学習指導要領にある「他教科等で児童が学習したことを活用するなどの工夫」を取り入れた実践指導を行うことができるようになります。

 

2. Communication

CLILでは、言語をコミュニケーションと学習のためのツールとして、意味ある文脈の中で学び使うことを促します。これは、外国語活動学習の目標である,「言語の体験的理解」、「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成」と「学習言語への慣れ親しみ」のために有効です。

 

3. Cognition

Cognitionは児童がさまざまな学習スキルを学びながら、学習言語を使って考える活動のことで、「4つのC」の中で特に重要な要素です。これは学習指導要領の目標「言語の体験的理解を深める」ことと、「児童の興味・関心にそった活動の工夫により、指導の効果を高める」 ために有効です。特に、外国語活動の授業が「形式的になったりしないように」するために、暗記や理解に偏ることのないバランスのとれた多様な学習活動を行うことが可能になります。

 

4. Culture/Community

Culture/Community とは,教室での協同の学びの質を高めながら,世界の文化や国際理解についても学びを広げることにより,文化理解を深めることです。これを取り入れることにより,「友だちとの関わりを大切にした体験的なコミュニケーション活動」を行いながら,外国語活動の目標の三つの柱のひとつである「(外国語を通じて)言語や文化について体験的に理解を深める」ことを促すことができます。

 

(6) CLILを外国語活動で実践してみたいのですが、どのように始めたらよいのでしょうか?

実践に際して、上記にある10項目を考慮し、「4つのC」をとりいれて指導案を考える必要があります。本ホームページに外国語活動のためのCLIL指導案例を載せていますので参考になさってください。また、この指導案例にあるCLIL活動の一つを授業の一部として取り入れることも可能です。これ以外にも、家庭科の調理実習と外国語活動を統合して行うなど、児童の興味や発達段階に合わせ、さまざまな教科内容をいかして実践を始めることができます。

 

(7) CLIL授業を英語で行うのに必要なことはなんですか?分からない単語が出てきたらどうすればよいですか?

CLIL授業を行うに際して、先生が内容やテーマにあった単語を事前に覚えておくことは必要になりますが、完璧である必要はありません。小学校の担任の先生が分からない単語を調べるのを厭わないことが、英語学習者としてのロールモデルを示すこととなり、児童の外国語学習に対する積極的な姿勢を促すことも報告されています。分からない単語が出てきても臆さず、児童に英語での学びの楽しさを体験させることが重要です。

 

(8) CLILの教材準備は大変ではありませんか?

CLILの授業では、社会の世界地図や理科の実験・観察教材、算数の図形など、他教科で使用している教材を活用することができます。小学校ならではの体験的学習を目指し、知識をいかしながら、準備していただければと思います。

 

(9) CLILを実践するのにどのくらいの英語力が必要ですか?

小学校の外国語活動で行う場合は英検2級程度の英語力があると余裕がありますが、準2級から3級程度でも教材や授業案をしっかりと準備すれば効果的な指導を行うことができます。中学や高校で本格的なCLILを行うには、英検準1級程度の英語力が必要です

 

(10) CLILと相性の良い教科はあるのでしょうか。

CLILに適した科目の条件は、考えさせる題材が豊富なこと、日常生活と結びつけやすいこと、様々な言語材料(単語、文法、発音)を教えられること、などです。この基準でCLILとの相性がよい科目を選ぶと、社会、理科、家庭科などです。ただ、図工、音楽、体育などの実技科目でも、実践例はあります。